鍵穴殺人事件

 シンキングラビットのアドベンチャーゲームです。

 部屋の中に突如響く銃声。
 外で待ちかまえていた探偵は急いでかけ込もうとするが、鍵がかかったドアは開かない。部屋にいるのはただ一人、謎の殺人予告に怯える屋敷の主人、ウィルコック氏だけだ。
 はやる気持ちをおさえて鍵穴を覗くと、そこにはウィルコック氏の死体が転がっていた。そう。自らの目前で、予告通りの殺人が行われてしまったのだ……。
 スコットランドヤードから派遣された探偵となって、英国の片田舎の屋敷で起こった密室殺人事件の謎に挑む、シンキングラビットの贈る本格ミステリーアドベンチャー。

 オーソドックスな、館を舞台にしたアドベンチャーの体裁をとりながら、きちんと納得のいく謎も用意され、推理ものとしての完成度も高い作品。
 当時、ここまでのトリックや人間関係をゲームで描くことができるのかと、感心した記憶があります。

 ストーリー自体はシリアスそのものですが、コマンド入力に対して冗談めいたコメントが返ってくるなど、シンキングラビットらしいユーモアが随所に散りばめられています。
 ただ、過剰な自社の宣伝など、やや行き過ぎたジョークには賛否両論だったかと……。
 「うちつけられて開かない扉」や「カーペットの下の紙」などのアイデアは後の作品にも登場し、プレイヤーへのサービスとして謎解きに花を添えました。

 ゲーム中は、いつでもどこでも容疑者を呼び出して尋問することができます。捜査をした結果を容疑者につき付けることによって、新たな展開が生まれる。ゲームならではの、実際に捜査をしているという臨場感を得られる演出です。
 階段でもバスルームでもキッチンでも、もうホントにどこにでも呼びだせるのですが、なぜかいつもテーブルを挟んで容疑者と向かい合う格好の画面が表示されます。本作最大の謎は、このテーブルがいったいどこから現れるのか?という事かもしれませんな(違)。

 このゲーム自体、非常に好きな作品なのですが、特に犯人の最後の供述に受けたインパクトは、個人的にはゲーム史に残るものがあると思います。
 ええ、個人的にはね。

 入手した証拠品のリストが画面の脇に表示されるのは、親切な作りでした。
 行ける場所はそれほど多くなく、マッピングの必要が無いほどですが、それぞれの部屋の位置関係は意識して把握しておくとよいでしょう。
 受けつけてくれるコマンドの数は少なめ、少し思いつきづらいコマンドもあります。少々入り組んだ謎解きは、きちんと推理しながら捜査を進めないと行き詰まるかもしれません。

攻略テキストです。プレイできる環境がいまだにある方は、よろしければどうぞ。

88版。中身はすべて同じものです。
確認していませんが、他機種版でも応用可能だと思います。


kagiana.txt   kagiana.zip

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